ブダペストで一番のおすすめは国会議事堂見学ツアーだった話と、真冬のセーチェーニ温泉は全くおすすめできない話
2025.12.28
今日はまず、9時15分からの国会議事堂ツアーに参加する予定である。このツアーはかなり人気らしく、1ヶ月以上前に予約した時には、私の旅行期間中で空いているのはこの日のこの枠だけ、しかも残り1枚という状況だった。国会議事堂までは少し距離があるため、トラムに乗って移動することにする。トラムは、公共交通機関24時間乗り放題券で乗ることができる。昨日ベッドに横たわりながら購入手続きをし、Budapest Goというアプリも導入してある。ブダペストは台北並みに公共交通機関が発達しているため、今日はこれを乗り回して観光する予定だ。



国会議事堂の最寄り駅で下車すると、目標はもう目の前だ。国会議事堂は、オーストリア=ハンガリー君主国時代、19世紀終わりに建築が始まり、20世紀頭に完成した。建設にあたっては、必ずハンガリーの職人を雇い、なるべくハンガリー産の材料を使うようにという条件で入札されたそうだ。ベージュピンクの屋根に、装飾の施された白い壁。尖塔がたくさんあるということはゴシック様式なのだろうが、ハンガリーのゴシック様式はなんだかどれも可愛い雰囲気がある。
国会議事堂では、議会が開かれていない日に限ってガイドツアーが開催されており、内部を見学できる。ツアーではオーディオガイドを貸してもらえ、日本語もあるので、内容を100%理解できるのが嬉しい。ツアーの一番の目玉として、ハンガリー王が代々戴冠式で使用してきた、聖イシュトバーンの王冠を見ることができる。しかしこの王冠があるドームの部屋は、ハンガリーの軍により警備されおり、写真撮影も禁止されている。その他の見どころである装飾階段や、議場は写真撮影可能だ。国会議事堂の内装はどこも豪華絢爛で、ステンドグラスもたくさん散りばめられていて美しいが、王冠の間、装飾階段、議場の3つは特に圧巻だ。ツアーに参加する価値はある。




国会議事堂のツアーを終え、今度はメトロに乗ってセーチェーニ温泉へ向かう。
セーチェーニ温泉は、20世紀初めに建てられた温泉施設だ。ハンガリーでは古代ローマ時代から温泉文化があり、オスマン帝国支配時にトルコ風呂の影響を受けたり、ハプスブルク家支配時に華麗な温泉施設が建てられたりしながら発展してきたようだ。ハンガリーでは、ぬるめのお湯に長く浸かりながら友人と話したりチェスをしたりして交流するらしい。同じ温泉好きの日本人として、行ってみなければなるまい。
さて、セーチェーニ温泉の当日券の窓口に並んでみるが、すごい行列になっている。列に並ぶのが面倒になってきたので、オンラインチケットを買うことにする。ところが、なかなか登録したメールアドレスにチケットが送られてこない。公式サイトには、「1時間経ってもチケットが送られてこなかったら連絡してね」と書いてある。うーん、どうするか。一応1時間待ってみることにする。
セーチェーニ温泉の外観を写真におさめてみたり、近くの英雄広場に足を延ばしてみたり、その途中にあった謎の城を散策してみたりしているうちに、1時間経っていた。



やはりメールは来ていない。しかしそろそろ、予約した昼ごはんの時間が近づいてきている。今から温泉に行くと、烏の行水になりかねないので、再びメトロに乗って移動し、ヴェレシュマルティ広場のクリスマスマーケットを覗いていくことにする。


食事の屋台は、ホットワインや巨大ソーセージ、巨大プレッツェル、巨大ホットドッグをよく見かける。ローストチキンやバーガーなどもある。雑貨の屋台もたくさんあり、クリスマスオーナメントやうつわ、アクセサリー、手帳などが売られている。雑貨はセンスが良いものが多く、ハンドメイド雑貨を見るのが好きな人に刺さりそうなデザインだ。購入には至らなかったが、眺めて歩くだけで楽しめる。ヨーロッパのクリスマスマーケットなんて、ロマンの塊だからである。
そろそろ予約の時間になったので、再びメトロに乗って移動する。ブダペストの公共交通機関、とても便利だ。分かりやすいし、行きたい場所にすぐ行ける。
puli és juhászというハンガリー料理の店は、赤、白、緑のハンガリー国旗カラーでまとめられた内装が可愛い。ここでハンガリー名物のグヤーシュスープを頼むつもりだったのだが、パプリカの肉詰めがあまりにも美味しそうだったので、そちらにすることにした。パプリカの肉詰めは、限りなく日本人の舌に合う味付けだった。パプリカに塩胡椒、スパイスの効いた挽肉がたっぷり詰まっていて、トマトソースで煮込まれている。一緒に巨大ミートボールが2つ着いてきたが、一つ一つ味付けが違うのが嬉しい。ついでに大量のじゃがいもも付いている。このじゃがいもさえなければ、もう1品頼めるのに。一緒に注文したレモネードも、ほのかにディルの香りがして美味しい。



食事を終えたところで、再びセーチェーニ温泉へ。この後は特に予定がないので、好きなだけ温泉でゆっくりできる。そう思っていた時が私にもありました。チケット届かない問題は、窓口で予約した名前を伝え、スマホの購入完了画面を見せて何とかしてもらった。水着に着替え、いそいそと外風呂に浸かった瞬間、お湯の驚きのぬるさに驚愕することになった。ハンガリーの温泉がぬるめであることは知っていたが、これは想像以上だ。非常にまずい事態になった。何がというと、湯から上がった瞬間、ブダペストのマイナス1℃の気温が、たっぷり水分を含んだ水着と身体を急速に冷やし、氷でできた服を纏っている気分になるのである。めちゃくちゃ寒い。激しい震えが止まらないし、歯もガチガチ鳴っている。スイッチを入れると振動する玩具になった気分だ。急いで内風呂のある建物に入り、一番近くにあった風呂に入る。えらい目にあった…。しかし、内風呂の湯もたいして温かくないので、全く身体が温まらない。館内マップを見た感じ、ロッカールームに戻るためには、必ず外を歩かねばならないようだが、どうしたものか。そんな時の救世主がサウナである。セーチェーニ温泉には、サウナもかなりの種類あるようで、普通のサウナやミストサウナなんかがある。最初に入ったサウナは、蒸気が出て湿度が高いタイプだった。入っていると、次第に体表面の水滴がどんどん増えていくので、これは良くない。なるべく気化熱を抑えるため、乾燥させる必要があるのだ。いくつかサウナを渡り歩き、理想の温度と湿度だと思われるサウナに居座る。…未だかつて、サウナがこんなに快適に感じられたことはなかった。一生ここから出たくないとさえ思える。身体中の血流が良くなり、身体も乾いた頃、満を持して外へ出る。…いける、いけるぞ!露天風呂に入った後で外気が心地よく感じる、あの状態に近い。寒さに負けた、かつての弱い自分はもういない。
ポカポカした身体のまま、セーチェーニ温泉を後にする。冬の温泉は、日本が一番だ。ハンガリーの温泉は、夏に入ることをおすすめする。
宿に戻りがてら、昨日見る余裕がなかった、聖イシュトバーン大聖堂前のクリスマスマーケットを眺めていく。日本では25日を過ぎると、年末年始を意識して急に町中が和の装いに様変わりするが、ヨーロッパでは年明けぐらいまでクリスマス仕様のようだ。屋台で買い食いしたい気持ちはあるが、晩ごはんにマンガリッツァ豚が食べられるレストランを予約しているため、我慢することにする。足の疲労や目の疲れは気合いで我慢できるが、胃の容量だけはどうにもできない。
ホテルに戻り、疲れた足を少し休める。晩ごはんは19時から、Király100というお店だ。ここは、いつ行っても必ずマンガリッツァ豚が入荷しているらしい。マンガリッツァ豚は、ハンガリー原産の最高級品種で。「食べる国宝」と呼ばれている。身体中が長い巻き毛に覆われ、モコモコしている豚だ。

メトロに乗ってレストランに向かうと、ちょっと強面のスタッフが席に案内してくれる。マンガリッツァ豚のステーキと、自家製レモネードを注文。レモネードは、くし切りのオレンジやレモン、ドライフルーツが入っていて風味が豊かだ。そして肝心のマンガリッツァ豚は、感動するほど美味しかった。分厚いステーキなのに、豆腐を切るようにナイフが入り、肉も脂身も柔らかく蕩けるようだ。日本にいると美食のハードルが上がりがちだが、久々に美味しすぎて感動するという体験をした。自家製ラタトゥイユとじゃがいものソテーも美味しい。この店自体、料理が上手いのだろう。個人的にはフォアグラより美味い。
ペロリと食べてしまった後、デザートを頼むかどうか、先程の強面のスタッフにたずねられる。テンションが上がっていたため、いつもなら頼まないのに、「Yes,please.」と言ってしまった。メニューをQRコードで読み取ると、詳しくデザートの説明をしてくれる。強面だが結構優しい。というか、ハンガリーに来てから出会った人全員親切だ。

説明の内容はたいして分からなかったが、写真付きなので見た目で気になったものを注文する。そして、デザートが運ばれてきてから、とんでもなく量が多いそれを前に、一気に冷静になった。…これ、食べ切れるのか?出だしから不安だが、味はすごく美味しい。ショコラ味のパンプディングの上にアイスがのせられたデザートで、ナッツの風味がしたり、ザクザク食感の部分としっとりな部分の二層になっていたりして、食べていて飽きないようになっている。しかし量が多すぎる。最後の3分の1は戦いだったが、なんとか完食して店を後にする。
メトロを乗り継いでホテルへ。ブダペスト観光は今日で終わりだが、過ごしやすく、美しい街だった。移住できるのではないかと思うほどだ。

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