プラハはどの観光スポットも素晴らしいが、クレメンティヌムと錬金術ミュージアムがめちゃくちゃおすすめだった話
2025.12.29
朝の6時半にホテルをチェックアウトし、メトロの駅へ向かう。7:30にNyugati pályaudvar(ブダペスト西駅)から出発する、ユーロシティに乗ってプラハへ行く。乗車時間は7時間ぐらいあるが、国をまたぐヨーロッパ鉄道旅は初めてなので楽しみだ。昨日から痛み始めた右足を動かさなくて済むのも良い。移動時間が長いので、夜行列車という選択肢もあったが、おそらく身体が死ぬから無理だった。

車窓からの眺めを楽しんだり、旅行記を書いたりしながら過ごしている。列車は、ハンガリーからスロバキアを通ってチェコに向かう。このあたりの国では、民家に必ず煙突がついているようだ。あとは山をほとんど見かけないし、常緑樹がないので、全ての木が枯れている。日本では常緑樹が必ず混じっているので、ヨーロッパならではといる。そして土地が広く、一つ一つの畑の面積がものすごく広い。日本では決して見えない、地平線というやつが見える。
かなりの長距離移動ではあったが、車窓からの風景を眺めたり、UNEXTでアニメをみたり、音楽を聴いたりしながら過ごした。
14:26にプラハHolešovice駅に到着。まずはホテルにチェックインするため、Hlavní Nádraží駅まで地下鉄で向かう。プラハの公共交通機関のチケットはPID LÍTAČKAというアプリで簡単に買える。駅からホテルまで歩いているだけで、プラハの街並みの美しさを早くも実感し始めている。プラハは、プラハ歴史地区として世界遺産に登録されている都市だ。大戦の被害が少なく、各年代の建築様式の建物が残っているため、街全体が建築博物館と言われたりしている。また、ゴシック様式の尖塔が数多く林立していることから「百塔の街」と言われたり、1000年続く歴史から「中世の宝石箱」と称されたり、かっこいい二つ名には事欠かない。
また、16世紀〜17世紀の神聖ローマ皇帝であったルドルフ2世が錬金術師を保護したため、「錬金術の地」としても知られている。
中世の街並みに錬金術…ゲーマー大歓喜の街ということだ。
今日泊まるホテルは、その建物が重要文化財にもなっている、hotel Parisという高級ホテルだ。年末年始ということもあって、恐ろしい値段だった。しかし一人旅なので、どれだけ散財しても誰にも怒られる心配はない。ホテルは外観も内装も、まさにヨーロッパのホテルと聞いてイメージする華やかなものだ。ヨーロッパ旅行をしている…!という実感が湧いてくる。スタッフのサービスも一流だ。部屋に荷物を起き、内装もヨーロピアンで可愛いことに喜び、バスタブがあることに歓喜したあと、すぐにプラハの街に探検に出る。

ホテルの近くには、ミフルカの火薬塔が立っている。火薬塔は、黒い尖塔がそびえる屋根に、複雑な装飾が施された壁を持っており、黒黒とした存在を放っている。その隣はアール・ヌーヴォー様式の美しい市民会館で、これがプラハの街の美しさか…と写真を撮りまくった。この火薬塔は、15世紀末にプラハ城を守るための要塞として建設されたものだ。ルドルフ2世の時代には錬金術の研究所として使われたのだそうだ。現在は軍事歴史博物館となっているらしい。


流石に空腹を感じてきたので、旧市庁舎広場のクリスマスマーケットに行くことにする。旧市庁舎広場までの道も、美しい建物が両脇に立ち並ぶ素晴らしい長めだったが、広場の美しさはそれ以上だった。何かのテーマパークではないかと見紛うばかりの壮麗な建築物に囲まれ、中心には大きなツリー、そしてたくさんの屋台と大勢の人で賑わっている。理想以上のヨーロッパのクリスマスマーケットがそこにあった。


雑貨を見て歩いたあと、巨大ホットドッグを注文する。ソーセージの種類はいくつか選べたので、パプリカ味にした。これだけでも満足感がありそうなボリュームだが、ブダペストのマーケットで買い食いし損ねた無念を晴らすべく、もう少し買ってみることにする。旧市街地からホテルまで戻り、ホテルの近くのクリスマスマーケットで、ハーブ味のソーセージとグリル野菜を購入する。立ち食いするスペースもあるが、せっかくホテルが近いので、ホテルまで戻って食べてみることにする。
まず、パプリカ味のソーセージは、ピリ辛のチョリソーみたいな味付けだった。チョリソーが不味いわけないので、もちろん美味い。しかしハーブ味のソーセージの方が、皮がパリパリに焼かれていてさらに美味しい。おかわりしたいぐらいだ。グリル野菜は、素揚げしたあと煮込まれたパプリカ、なす、ズッキーニ、マッシュルームだ。味付けは濃くなく、ソーセージの味が濃い分箸休めに丁度いい。

ホテルで寛ぎながらご飯を食べた後は、熱めのお湯をいれて入浴する。最高の気分だ。バスローブが部屋にあったので、風呂上がりはバスローブを着て、広々としたベッドに寝そべる。部屋に置いてあったレモン系のハーブティーを飲みながら、スーパーで買った謎のお菓子を時おりかじり、youtubeを見るなどしている。
動画を見ながら寝落ちしていたが、20:00 から市民会館でコンサートのチケットを取っている。離れ難いベッドから起き、ホテルの隣にある市民会館へ向かう。


市民会館は、20世紀初めにアール・ヌーヴォー様式で建てられた会館である。内部にはコンサートホール「スメタナ・ホール」があり、このホールの装飾はミュシャが手がけたものだ。このホールを拠点にしているプラハ交響楽団は、世界的にレベルの高いオーケストラなのだそうだ。今日申し込んだのは、ドヴォルザークのコンサートである。ドヴォルザークといえば、「新世界」があまりにも有名だ。なお私は、貴志祐介の「新世界より」を読んでから、この曲を聞くと背筋が寒くなる呪いにかかってしまっている。とても面白い小説なのでおすすめである。
このドヴォルザークと、ホールの装飾を手がけたミュシャと、ホールの名前にもなったスメタナ、なんとみんなプラハ出身の偉人なのである。豪華すぎる。ご当地偉人対決とかがあったらプラハは圧勝だ。
スメタナホールは、白・ダークブラウン・金を基調とした、アール・ヌーヴォー様式の美しいホールだった。コンサートも、知らない曲だがダイナミックなメロディで、クラシック素人の私でも楽しめるものだった。貴族になった気分がする。
2025.12.30
今日の予定はプラハ市内観光だ。プラハは見所が多すぎて、多分今日中には回りきれないだろう。観光に繰り出す前に、ホテルの朝食ビュッフェを食べに行く。メニューは、ハム、チーズ、パンの種類が多いが、生野菜やフルーツの種類も結構多くてありがたい。ブダペストでは肉と小麦とじゃがいもしか食べた記憶がないため、意識して草を食べないといけない。豪華な空間で豪華な朝食を食べていると貴族になった気分がする。やはり肉類、乳製品の味は日本のビュッフェで見かけるものよりレベルが高い。

さて、9時からクレメンメィヌム見学ツアーを予約しているので、徒歩で向かうことにする。途中で旧市庁舎広場を通ったが、朝早くは人が少なく、そして差し込む朝日が綺麗なため、写真を撮るのにもってこいだ。旧市庁舎の天文時計とディーン教会が1枚に収まる写真は、プラハの代名詞と言ってもいい。




クレメンティヌムは、16世紀~18世紀頃にかけて建てられ、イエズス会の修道士たちの住居として使われたり、大学になったりした場所である。図書館や天文塔が有名で、いくつかの施設が集まった複合体をクレメンメィヌムと呼ぶらしい。図書館はバロック様式の美しい内装になっていて、今日のツアーの目玉である。
クレメンティヌムには8時半頃着いたというのに、入口前にすでに長蛇の列ができていた。これは、当日券を買おうとしている人達の列だ。チケット持ちは9時開店と同時に並ばず中に入って良い。ツアーが始まり、英語の説明を聞きながら館内を回っていく。そしていよいよ、メインの図書室の見学だ。
図書室は、「息を飲むほど美しい」という言葉がそのまま当てはまる場所だった。美しい装飾の施されたダークブラウンの書棚に、古い書物がずらりと並び、中央には一つ一つ形の違う天球儀がいくつも並べられている。天井には美しい絵画が描かれ、あまりのファンタジーさに、ホグワーツの図書室を覗いている気分になる。蔵書の中には禁書もあるのだという。閲覧禁止の棚というやつだ。ちょっとロマンが溢れすぎではないか。



図書室を心ゆくまで眺め回した後は、細い木の階段を上に上り、天文塔のてっぺんから市内の景色を鑑賞する。こちらも驚くほど美しい光景である。ディーン教会や旧市庁舎の尖塔がいくつも空へ伸びていて、「百塔の街」を実感できる。

朝一番のツアーから大当たりでウキウキの私は、カレル橋を渡ってプラハ城の観光に行くことにする。カレル橋は、プラハの中心を流れるモルダウ川に掛けられた橋で、600年以上前からあるらしい。橋の上には偉人や聖人の像が並んでいる。橋の両側にあるゴシック様式の橋塔も素晴らしく、特に城側にあるマラー・ストラナ橋塔のアーチから除くメインストリートの様子は、ほんとうに美しい景観である。プラハに来てから「美しい」しか言っていないが、それは美しさの最高記録がどんどん更新されていくので、仕方のないことなのである。

プラハ城は、最初に造られたのは9世紀だという話だが、現在のゴシック様式の外観になったのは14世紀のようだ。その後、ハプスブルク家支配時にも改築や再建が行われたらしい。かつてボヘミア国王や神聖ローマ皇帝たちが居城にしていたというこの城は、現在大統領府としても使われている。

城の敷地内には見どころがひしめき合っているのだが、そのうちの一つが聖ヴィート大聖堂だ。

この聖堂はゴシック建築の代表例だそうだが、14世紀に造られ始めたにも関わらず、なんと完成したのは20世紀になってからである。
この聖堂の一番の見どころは、ミュシャが作成した美しいステンドグラスと、聖遺物「聖ヴィートの腕」が保管された聖ヴァーツラフ礼拝堂のようだ。聖ヴァーツラフは10世紀のボヘミア国王で、キリスト教の布教を推進したため、聖人に列せられている。





プラハ城見どころ2つ目は、聖イジー教会だ。10世紀に造られたロマネスク様式の教会で、アーチやドームを用いない重厚な壁や天井が重々しく厳かな雰囲気を作り出している。ゴシック様式で造られた聖ヴィート大聖堂が、アーチやステンドグラスで飾られファンタジックな雰囲気であるのとはかなり趣きが違う。



見どころ3つ目、旧王宮は、チェコ王国の国政が行われていた場所である。何度も改築がされているが、こちらも基本的にはゴシック様式のようだ。見どころとして有名なのは、15世紀の王ヴラディスラフによって造られた「ヴラディスラフ・ホール」である。このホールの見所は、その広さとアーチ状の天井を飾る幾何学模様の装飾である。



見どころ4つ目は、黄金の小道だ。プラハに仕えていた人々が暮らしていた家が残っている小さな路地で、ルドルフ2世の時代には錬金術師が住んでいたり、カフカが執筆に使った家が残っていたりする。家の内部は、中世の室内を再現したものがあったり、ギフトショップになっていたりする。ギフトショップはセンスの良い雑貨が結構置いてあるので、見ていて楽しい。フクロウと本がモチーフのブックマーカーをお土産に買ってしまった。中世っぽくて気に入ったのだ。


黄金の小路の一角にはダリボルカ塔という牢獄があり、中世の拷問器具が展示されていた。有名なアイアン・メイデンがあったので、写真に収めておいた。


プラハ城を後にし、プラハで絶対に行きたいと思っていたSpeculum Alchemiaeへ向かう。ここは錬金術のギフトショップなのだが、店の地下に16世紀の錬金術工房があり、店が開催しているガイドツアーに参加すると、その地下室を見せてくれるのだ。


16世紀といえば、錬金術師を保護したルドルフ2世の時代だ。ルドルフ2世と言えば、一時期かの有名なヴォイニッチ手稿の持ち主であったとされている皇帝でもある。きっと珍しいもの、新しいものが好きな人だったのだろう。さて、ツアーでガイドをしてくれるのは、長髪で痩身の男性で、ナプティアみたいな雰囲気の人だった。錬金術のガイドとして雰囲気が合いすぎではないか。店の奥に、中世の錬金術師の研究室みたいな小部屋があり、そこで錬金術についての説明を受ける。この部屋の四隅には四大元素のモチーフが描かれていたり、重厚な本棚にウロボロスが描かれたフラスコが置かれていたりする。

そして、1番奥の本棚の、ガーゴイルの置物を押すと、本棚が仕掛け扉になっていて、奥に地下へ続く階段が現れるのだ。ロ、ロマンがすごい…!!うおお!!盛り上がってきた!!


地下室は、なんと旧市庁舎やプラハ城の地下にも繋がっているのだという。地下室には、錬金術が行われていたかまどがあったり、たくさんのフラスコや実験器具か置かれていたりする。オタクが好きな要素を全部詰め込んでくるなんて、一体なんなんだ?さては店の人は同類なのか?

素晴らしすぎる体験をして、ギフトショップに戻ってくる。愛のエリクサーや若さのエリクサーが売られていて、あまりにも欲しい。しかし私はリュックサック1つで旅行中の身、瓶に入った色つきの液体を無事に日本まで持って帰れるのかどうか…。990CZKもするのに空港で取り上げられたり割れたりしたらおしまいだ。エリクサーの他に売られていたのは、アミュレットやブローチなど。この店は永遠の象徴であるウロボロス推しらしく、ウロボロスのブローチが置いてある。デザインが私の好みとは少し違っていたので、ブローチは買わなかった。無念。
錬金術ミュージアムを満喫した後は、遅めの昼食をとりにNaše masoに向かう。ここは、精肉店にレストランが隣接しており、新鮮な肉料理が食べられることで有名だ。午後2時頃に行ったのにすごい行列になっている。タッチパネルで注文し、出来上がったら番号で呼ばれる方式だ。ほとんどの人がハンバーガーを注文している中、牛肉のタルタルを注文する。色々な記事で美味いと紹介されていたが、めちゃくちゃ美味い。玉ねぎやディルっぽい味の薬味が効いていて、無限に食べられる味だ。カンパーニュが4〜5切れぐらい付いてくるので、これだけで満腹になってしまった。しかし美味かった…。


15時から始まる旧市庁舎の地下ツアーの時間が迫ってきているので、旧市庁舎広場に戻る。ツアーが始まる前にクリスマスマーケットを散策し、自分と友人用にクリスマスオーナメントを買った。友人はクリスマスツリーを持っていて、オーナメント募集中だから良いのだが、私の家にツリーはない。なのになぜ買ったかというと、デザインが気に入ったからだ。帰国したら、ツリーを買わねばなるまい。

旧市庁舎は、14世紀〜19世紀にかけて造られたいくつかの建物が合わさってできている。有名なのはカラクリじかけの天文時計だろう。12使徒が出てくるカラクリ仕かけは、1時間に1回動くようになっている。カラクリの下には2種類の天文時計があり、天動説に基づき太陽や月、星がデザインされた「プラネタリウム」、黄道十二星座に基づいた「カレンダリウム」である。
そして、旧市庁舎の地下には12世紀のプラハの街が地盤沈下で沈みこんでできたダンジョンがある。このダンジョンは、先程の錬金術ミュージアムの地下や、プラハ城の地下にも繋がっている。ブダペストでも地下迷宮を彷徨っていたことから分かるように、私はダンジョンと聞けば潜らずにはいられない。そこにロマンがあるからだ。地下には、かつての家の玄関や窓、井戸や牢獄があった。自由に歩いて回れたら1番良いが、おそらくこの地下はツアーでしか来れないので仕方がない。そのかわり、ガイドの人が詳しい説明をしてくれる。旧市庁舎の地下を見て回った後は、少し移動し、フランツ・カフカのミュージアムにある地下も見学に行く。このミュージアム自体は結構謎なコンセプトで、階段の上に人形の生首が置いてあったりする。


プラハの地下ツアー、かなり面白かったが、ダンジョン探検気分を味わえるのは圧倒的にブダペストの方だ。プラハはガイドツアー付きなので、お勉強といった雰囲気が強い。
約2時間のツアーを終えて地上に出ると、まだ5時前だというのにすっかり外は暗くなっている。やはり日本より緯度が高いからだろう。ライトアップされた旧市庁舎の天文時計とディーン教会の眺めも圧巻だ。ダークファンタジーみたいな雰囲気がある。そして、ちょうど5時になり、天文時計のからくりが動く時間になったので、見ていくことにする。鐘の音がなり、小窓が開いて人形がくるくる回っているのが見える。最後に鶏の鳴き声がして、鐘が鳴っておしまいだ。そこまで派手な演出ではなかった。

冬は日照時間が短く、もう主な観光スポットは閉まったり締まりかけていたりする。晩ごはんが入りそうな状態でもないので、ミュシャグッズを売っているギフトショップを覗いて帰ることにする。ミュシャミュージアムにも行きたいが、それは1日になりそうだ。ギフトショップには、ミュシャの絵をモチーフにしたマグネットやポーチ、絵葉書やバッジなどが売られていて、ミュシャが好きな私はかなり時間を使い、買うものを厳選した。

ちょうど手鏡が欲しいと思っていたので、ミュシャの「モナコ・モンテカルロ」が描かれたミラーを買うことにした。なかなかお洒落で良いのではなかろうか。
ホテルに戻り、熱いお風呂に入って、カフェラテを飲みながら寛いでいる。あまりにも充実した1日だった。

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