オルチャ渓谷の現地ツアーはイタリアらしい風景が見れて最高だった話
2025.9.26
今日は、トスカーナ地方オルチャ渓谷の村を訪れる1日ツアーに申し込んでいる。イタリアの田舎の風景も見てみたいし、世界遺産に登録されている地域なので、絶対に行きたいと思っていた場所だ。ツアーは、サンタ・マリア・ノヴェッラ駅近くのバスターミナルに7時45分集合だ。ホテルの朝食は8時から9時30分までしかやっていないので、昨日買ったパンを食べてから出かける。クロワッサンは日本のものより少し甘めで、少し歯ごたえがある。結構好きかもしれない。

ツアーの待ち合わせ場所に着くと、ツアーに参加する人々でごった返していた。修学旅行ぐらいの大人数で、大型バスに乗って移動するタイプのようだ。参加するツアーの種類によって、違う色のステッカーを渡されているようで、私たちは茶色のステッカーだった。あたりを見渡し、同じ茶色のステッカーの人を見つける。この人について行けば、ツアーに置いていかれることはないだろう。バスに乗り込むと、ガイドのセバスチャンが英語とスペイン語で注意事項を説明してくれる。英語はちゃんと8割くらい聞き取れるので安心した。グアムでは訛りが強くて全然分からなかったし、イタリアでも聞き取りにくい人もいたので心配していたが、大丈夫そうだ。今日のツアーでは、モンタルチーノ、ピエンツァ、モンテルプルチャーノの3つの村を訪れる。モンタルチーノとモンテプルチャーノでは、ワインの試飲もある。

オリーブやブドウ畑が広がっていて、青空と緑の対比が美しい。
フィレンツェからハイウェイを南に走ること1時間半、オルチャ渓谷の美しい景色が車窓から見えてきた。渓谷と聞くと、みたらい渓谷のような日本の急峻な渓谷のイメージを持つが、オルチャ渓谷はなだらかな丘だ。見渡す限りゆるやかな斜面を描く緑の丘陵地帯が広がっていて、ところどころ糸杉の並木道が続いている。糸杉はオルチャ渓谷のシンボルで、渓谷の美しさをいっそう引き立てている。車窓から糸杉の並木道が見えるたび、乗客たちは熱心に写真を撮っていた。この辺り一帯は葡萄やオリーブの畑らしい。あまりにも景色が美しく、今までたくさんの絵画の題材とされてきた場所であるらしく、自然遺産ではなく芸術の保存、文化遺産として世界遺産登録されたという経緯を持つ。今日訪れる村はそれぞれ、オルチャ渓谷に点在しており、どこも歴史が古く、中世の街並みがそのまま残っている。きっとウィッチャー3やドラゴンズドグマみたいな景色が見られるに違いない。楽しみだ。

まず訪れたのは、Tenuta Poggio Il Castellareという、モンタルチーノのホテルに併設されたワインセラーだ。ここでは、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノという超有名赤ワインを含む、3種類のワインをテイスティングさせてもらった。おつまみとして、クルトンみたいな食感のバゲットとサラミが置かれている。このサラミ、胡椒が効いていてとても美味しく、皆が残したサラミを夫はせっせと口に運んでいた。肝心のワインの方であるが、イタリアで初めてDOCGの認定を取ったらしく、分かる人が飲めばその良さが分かるのであろう。

しかし私の舌は、葡萄ジュースに近ければ近いほど美味しいと判断するため、「なんか高級そうな複雑で難しい味がする…」と思っただけであった。
テイスティングの後は、モンタルチーノの街並みを1時間ほど自由に散策する。モンタルチーノは坂道や階段が多く、写真を撮りたくなる小道や路地がたくさんあった。建物の雰囲気は運河がないヴェネツィア、こじんまりしたフィレンツェだろうか。中世、シエナ共和国に属するまではモンタルチーノだけで1つの共和国だったので、村というよりは小さな都市だ。お土産が買える店やレストラン、ホテルも結構あるが、ワインの店がやはり多い。散策しつつ、村の高台にあるドゥオモ(大聖堂)や、細長い時計塔が目印のプリオーリ宮といったランドマークを見て周り、1時間はあっという間に終わった。



モンタルチーノの次は、ピエンツァへ向かう。ピエンツァは、15世紀のローマ教皇ピオ2世の出身地である。教皇がピエンツァを理想郷に造り変える計画を始め、現在の美しい街並みができあがったらしい。ピオ2世広場というのがあって、ピエンツァ大聖堂と、教皇の邸宅として建てられたピッコローミニ宮という、ピエンツァの見どころが広場に面して立っている。街並みや大聖堂はモンタルチーノとよく似た雰囲気で、中世ヨーロッパにタイムスリップした気分だ。

昼ごはんを食べに、セバスチャンおすすめのRistorante la Terrazza della Val d’Orciaに向かった。この店は自分から店員を呼びに行かないとオーダーも会計もできないので、日本人は注意が必要だ。注文したのは、チーズの盛り合わせとヴァルドルチャーナというピザだ。ピエンツァは羊の乳から作られるペコリーノチーズが有名で、蜂蜜などの甘いものと合わせて食べられている。注文したものも、ペコリーノチーズが何種類か盛られており、甘いジャムみたいなものが添えられていた。クアトロフォルマッジに蜂蜜が合うことを知ってからは、チーズ+甘味の組み合わせは最強だと思っている。特に癖強めのチーズであればあるほど甘味と合うと思っている。ピザの方は、日本人がピザと聞いて想像するものとは少し違うが、とても美味しいピザだった。厚みのある生地はもちっとしていて少し甘みがあり、ピザというよりパンに近い。上に水牛モッツァレラチーズとペコリーノチーズ、生ハムとルッコラ、セミドライトマトが乗っている。チーズのこってり感と生ハムの塩気、トマトの酸味がバランス良かった。

昼食のあとは、ガイドさんおすすめの景色が綺麗な場所に向かうことにする。Googleマップで見るとそんなに遠い距離ではなさそうだったのだが、実際に行ってみると、高台にあるピエンツァの村からどんどん急な坂道を下っていくではないか。坂道を下るということは、帰りは同じ距離の坂道を上るということである。しかも自由時間は残り少なくなっており、少し急ぐ必要があった。急いで目的地に向かい、オルチャ渓谷の景色を慌ただしく写真に収め、息も絶え絶えになりながら来た道を戻った。もっとゆっくり街並みを散策できればよかったが、世界遺産の街を走り回って慌ただしく写真を撮るだけになってしまった。集合時間になる最後の1分まで惜しまず写真を撮りに駆けずり回る私を、夫が遠くから眺めている。



ピエンツァの後に向かったのは、モンテプルチャーノだ。こちらもワインの産地で有名な村である。ここのTalosa – Cantina Storicaというワインセラーは面白くて、入店後果てしない階段を下に下に降りて行き、天井や壁が岩肌剥き出しの地下通路を通り、古いレンガ造りのワイン蔵にたどり着くのである。ワインの樽は直径1m以上もありそうな巨大な樽で、迫力がすごい。テイスティングには、3種類のチーズとオリーブオイルのかかったバゲットが用意されていた。今飲んでいるワインにどのチーズを合わせると良いのか、4人がけテーブルで相席になった親切なご夫婦が教えてくれた。ご主人はロシアン・マフィアみたいな見た目をしているが、気さくで親切な人だった。格付けチェックのようにワイングラスを回し、香りを楽しむフリをしてから飲んだ。隣で夫もワイングラスを光に翳し、ワインの色を楽しむフリをしている。味の良さは正直分からない。やっぱり葡萄ジュースが一番美味しい。

モンテプルチャーノの街は、モンタルチーノ、ピエンツァと似ているが、年季の入った石造りの壁はかなり古くて雰囲気があり、個人的に3つの村の中で一番好きかもしれなかった。街を散策していると、拷問器具のミュージアムがあり、そこだけ異彩を放っていた。入口には拷問器具を付けられた骸骨がぶら下がっており、どうやって使うのか分からない拷問器具が展示されていた。


3つの街を回り終え、再びバスでフィレンツェへと戻る。
晩ごはんは、中央市場のフードコートに行ってみることにする。中央市場の1階や市場の周りの露店は、夜になるともう閉まっていたが、フードコートはかなり長い間やっているようだ。ここでなら食べたいものはだいたい何でもあるらしく、しかも美味しいらしい。

夫がボロネーゼパスタかトマト味のパスタを食べたいと強く主張するので、パスタ店に並んでみる。フードコートはめちゃくちゃ喧しいので、声を張らないと注文できない。しかも、メニューはイタリア語のみだ。今までのレストランがどこも英語とイタリア語両方書いてくれている店ばかりだったので、油断していた。イタリア語はさっはり分からないが、幸いなことにパスタの名前はイタリア語のまま日本に浸透しているものが多い。ローマ字読みをすればジェノベーゼやカルボナーラなど判読可能だ。そしてボロネーゼは…分からないが、RAGUと書いてあるのはラグーソースのことで、ミートソース系統のはずである。発音が分からないのでメニューを指さして注文する。これで全然違うものが出てきたらどうしよう…と、スタッフが緑色のソースを鍋に入れたり、クリーム系の黄色いパスタを皿に盛り付けるたびにドキドキしたが、私たちの番が来て、ミートソースっぽい色のソースを大鍋で混ぜ始めたのでひとまず安心だ。できあがったパスタは日本の1.5倍くらいのボリュームで、16ユーロ。まあ妥当だ。フードコートの席を探して食べてみたが、これがなかなか美味しかったし、ちゃんとラグーソースだった。しかも、日本だと申し訳程度のミンチがパスタに乗っているだけだが、細切れ肉がごろごろ入っていたのがかなり好評価ポイントだった。これには夫も満足したようである。


晩ごはんの後はホテルに戻り、シャワーを浴びて、気がついたら気を失っていた。旅先では良くあることだ。

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